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病因と対処法
ドライマウスはさまざまな原因により生じることが知られているが、特に最近では、食生活の変化による咀嚼筋などの口腔内周囲筋の筋力の低下や、子供の受験やお稽古などによるストレス社会の低年齢化により、ドライマウスが特定の年齢層だけでなく、高齢者から若年者までにみられる傾向がある。
以下に現状想定されている病因と対処法を記載。
(1)薬剤性のドライマウス
副作用によりドライマウスを生じる薬剤としては、降圧剤、利尿剤、抗ヒスタミン剤、坑うつ剤、坑不安剤、鎮痛剤がよく知られている。
〈(1)における対処方法について〉
薬剤の服用によりドライマウスを発現している場合は、唾液腺の機能は保持されているので、薬剤の服用を減量、あるいは中止することにより回復する可能性はある。
ただし、薬剤を変更、中止した場合のリスクを考え、安易に服用を中止することは避け、薬剤を減量、又は、変更できないか?という点について主治医に対診することが必要である。
(2)老人性のドライマウス
加齢により咀嚼筋、口輪筋、頬筋などの口腔周囲の筋力が低下することが知られている。
咀嚼機能の低下により、唾液が十分に分泌されず唾液による粘膜保護作用や、浄化作用が低下し、感染症や摂食嚥下障害の原因となることが考えられる。
義歯の安定にも唾液は必要であり、唾液の減少により義歯が不安定になり、粘膜が傷つき疼痛や感染症の原因になることもある。
〈(2)の対処方法〉
乾燥した口腔粘膜には、保湿剤配合の洗口液、保湿ジェルを用いて粘膜の保護を行う。
漢方薬が有効な場合がある。
(3)神経性のドライマウス
唾液腺は、副交感神経と交感神経の二重支配を受けている。ストレスの多い状況下において時折生じる口渇は、従来考えられていたような直接的な交感神経による分泌抑制ではなく、むしろ上位の中枢による唾液核への分泌作用によって生じると考えられている。
〈(3)の対処方法〉
強いストレスや精神的にダメージを受けていることが明らかな場合は、神経内科や心療内科を紹介する。歯科では保湿を促す対症療法を行うが、患者の口腔乾燥に対する不安、不満をよく聞き、慰め、共感を持つことも大切な治療になる。
(4)放射線性のドライマウス
口腔や顔面領域のがん治療や、移植医療の一環で、放射線を照射した患者にドライマウスが発現することがある。これは放射線によって、唾液腺が破壊されるためで、ドライマウスは放射線治療の初期から発現し、症状は放射線照射量に依存するとされている。
〈(4)の対処方法〉
歯科では保湿を促す対症療法が有効である。
(5)シェーングレン症候群のドライマウス
シェーングレン症候群はドライアイ、ドライマウス等の乾燥症状を主徴とする女性に多い全身性の自己免疫疾患である。1996年の厚生省統計情報部による患者調査では、シェーングレン症候群の総患者数は42,000人と見込まれているが、潜在的な患者数は100,000人に達すると報告する医師もいる。
〈(5)の対処方法〉
シェーングレン症候群に伴う口腔の乾燥感に対しては、唾液の分泌を促進する薬剤としてエボザック(塩酸セビメリン)の処方が可能である。フォルビテン(アネトールトリチオン)麦門冬湯や小柴胡湯などの漢方薬などの内服薬も処方でき、頻回の含ソウ、人工唾液の噴霧、口腔内用保湿ジェルの塗布など、局所の対処療法の併用により、症状を緩和させることが重要である。
(6)糖尿病性のドライマウス
★I型糖尿病:10〜20歳代の若年者に多くみられる
★II型糖尿病:40歳代以降の中高年に多くみられることが多く、日本人の糖尿病の大部分はこれにあたる
糖尿病患者は感染しやすく、歯周病の進行度も高いとされている。
血糖値が高い場合には、尿が増えて口腔乾燥症状が出やすくなる。
〈(6)の対処方法〉
高血糖による口腔乾燥であることから、内科などの専門医を紹介し、歯科では保湿を促す対症療法を行う。
(7)脳血管障害性のドライマウス
脳血管障害の患者は食物の口腔内残留や、唾液分泌の減少があり、口腔内は細菌が繁殖しやすい環境となっており、残留した食物は気道内へ流れ込みやすく、常に肺炎の危険性がある。このため、口腔ケアは重要で、口腔内を清潔に保ち、誤嚥による肺炎を予防する。
〈(7)の対処方法〉
口腔ケアは、ガーゼや綿棒などで、口腔内の清拭、歯の汚れをとり、歯肉、舌のマッサージ、アイスマッサージや筋機能療法を行うことにより、嚥下反射を促進させる。
意識障害がある場合は、唾液の分泌が少なくなり、自浄作用がなくなるので、保湿剤、抗菌作用のある薬剤を用いる。
※ まとめ
ドライマウスの治療には歯科医と内科医、そして患者の協力関係こそ不可欠だと考えます。
内科医は全身的な投薬などのコントロールに努め、歯科医は含ソウ剤や口腔内保湿剤などの様々な対症療法が主体となると思われる。歯科医師としてこれから勉強していかなければならない分野のひとつであると感じました。
●ドライマウスオアシス
ドライマウス(口腔乾燥症)情報サイト
日本化薬株式会社
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